最近の細菌の話(1)
ミュータンス菌による肺の血栓形成が、がんの転移を促進する
がんの合併症で知られている血栓症は死因としても2番目に多く心血管疾患を持つ患者はがんのリスクが高いとも報告があります。
最近の研究で北海道大学と藤田医科大学の研究グループは
ミュータンス菌により肺の血栓形成が誘導され、がんの転移を促進することが見つけられた。
詳しい内容は省きますが、口腔内のでは歯周炎があると口腔内細菌が血中に循環しやすくなるので、がん患者の口腔衛生管理は
誤嚥性肺炎の予防だけでなく、がん関連血栓症の発症や転移の抑制にもつながる。そしてがん患者の生存率向上に貢献する。
とあります。
今までミュータンス菌は虫歯の原因として知られており、虫歯以外はそれほど悪さをしないと思われていましたが上記の研究から
思うことはとにかくお口の中を清潔にすることが大事です。またお口の中の細菌を定期的にみることも重要だと思います。当院では皆様
のお口の中の細菌を顕微鏡で拝見してアドバイスをしています。ぜひ見た目の清潔さだけでなく顕微鏡でご自分のお口の中の細菌を
確認されることをお勧めいたします。
また、血液の中に細菌が入るという菌血症を起こさないために丁寧でやさしい歯磨きを行うことも重要です。強くみがくことで歯肉
から出血してしまいますが、出血とは血管が破れることで敗れたところから細菌が血管の中に入って菌血症を起こします。歯を磨いて血が出たら悪い血だからどんどん出せという間違った考えはおやめください。詳しくは当院までおたずねください。
論文名;Oral bacterium Streptococcus mutans promotes tumor metastasis through thronbosis formation
雑誌名;Cancer Science D01:10.1111/cas 16010